予防接種(ワクチン接種)の目的
細菌やウイルスといった病原体から作られた抗原物質であるワクチンを接種することで安全に免疫を獲得し、その感染症にかかりにくくする効果や、発症しても重症化しにくくなる効果が期待できます。
当院では、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチン、子宮頚がんワクチン、麻疹風疹のMRワクチン、肝炎ワクチン、破傷風ワクチンなどに対応しており、小児の予防接種も可能です。
インフルエンザワクチン
インフルエンザは抗原性の違いから、インフルエンザA型とインフルエンザB型、インフルエンザC型、インフルエンザD型に分けられますが、流行するのは主にインフルエンザA型とインフルエンザB型です。中でも、インフルエンザA型の「香港型(H3N2型)」と「ソ連型(H1N1型)」、インフルエンザB型の「山形系統」と「ビクトリア系統」が例年冬に流行しやすいことから、インフルエンザワクチンにはこの4種の株が入っています。インフルエンザA型のHやNは、ウイルス表面から突き出ているトゲ状のタンパク質のタイプを現しており、ヘマグルチニン(H1~16)とノイラミニダーゼ(N1~9)の組み合わせは144種類にも及びます。インフルエンザA型は、ヒトに加え、多くの哺乳類や鳥類にも感染し、変異を起こしやすい傾向があります。
インフルエンザワクチンの接種時期
インフルエンザワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかり、ワクチンの効果が持続するのは5か月間程度とされています。日本でインフルエンザが流行するのは毎年12月から翌年の3月頃までですので、その期間に予防効果を維持させるためには10月下旬から12月初旬までに接種を受ける必要があります。
肺炎球菌ワクチン
肺炎は高齢者の死亡原因として長年上位を占めており、肺炎の原因になる病原体で最も多いのが肺炎球菌です。成人の肺炎では20~40%が肺炎球菌によって発症しているとされており、重症化しやすく、敗血症や髄膜炎などを起こすことがあり、治りにくいという特徴を持っています。肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎の発症や重症化、敗血症や髄膜炎の発症といったリスクを低減できます。ただし肺炎球菌は種類が多いので100%予防できるわけではありません。
再接種には年以上の間隔が必要
インフルエンザワクチンは毎年10月に接種が開始されますが、肺炎球菌ワクチンは1年中、どの時期でも接種可能です。また、肺炎球菌ワクチンの効果は5年ほど続くとされており、5年以内に再接種すると注射した部位に強い痛みなどを生じるリスクがあります。再接種は前回の接種から5年以上経過していることを確認してから受けるようにしてください。
なお、はじめての接種や5年以上経過してからの再接種でも、接種部位の赤みや痛み、腫れ、発熱、筋肉痛などの副反応を起こすことがあります。こうした副反応は5日以内に解消へ向かうことが多いのですが、それ以上経過しても副反応が改善しない場合にはお気軽にご相談ください。
成人用肺炎球菌ワクチンの接種をお勧めしたい方
- 65歳以上
- 現在、養護老人ホームや長期療養施設などに居住している
- COPD(肺気腫・慢性閉塞性肺疾患)・糖尿病・慢性心不全・血液悪性腫瘍などがある
- 肝炎、肝硬変などの慢性肝疾患がある
など
公費による助成制度
高齢者を対象とした成人用肺炎球菌ワクチンは、平成26年(2014年)10月1日に任意接種から定期予防接種になっています。定期予防接種は、予防接種法に基づいて市町村など自治体が実施するよう定められています。接種対象者は生年月日によって毎年変わり、対象者が自治体の契約医療機関や保健所で接種を受けると公費による助成の対象になります。対象者には自治体からお知らせが届きます。詳細はお住まいになっている自治体にお問い合わせください。
麻疹風疹(MR)ワクチン
成人が麻疹・風疹に感染して発症すると重症化しやすい傾向があります。また、妊娠中に風疹に感染すると胎児に感染して難聴・白内障・先天性心疾患などを発症する可能性があります。妊活をはじめる前に抗体検査を受け、必要な場合には麻疹風疹ワクチンの接種を受けましょう。なお、麻疹風疹ワクチン接種から2か月間空ける必要があります。また、妊娠している場合や妊娠の可能性がある場合には、麻疹風疹ワクチンの接種はできません。
水痘・帯状疱疹ワクチン
いわゆる「水ぼうそう」のワクチンです。妊娠中に感染すると13〜15%が死亡するほど重い肺炎を起こし、赤ちゃんにも脳炎や小頭症・四肢形成不全といった先天性水痘症候群を発症する可能性があり、流産や早産のリスクも上昇してしまいます。
また、水ぼうそうにかかって治ってからも潜伏しているウイルスが長い年月を経て再び活動して発症する帯状疱疹は近年、増加傾向にあり、再発することもあります。
水痘・帯状疱疹ワクチンには、水痘生ワクチンと帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス)の2種類があり、帯状疱疹の発症リスクが高い50歳以上の方に接種が推奨されています。
HPVワクチン(男性)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、主に性行為により感染するウイルスで男女ともに感染するリスクがあります。ウイルスの遺伝子型が多いものの、病気の原因になるものは一部のウイルス型のみです。男性の場合、中咽頭がんや肛門がん、尖圭コンジローマなどがHPVによる発症することがありますので、ワクチン接種にて予め予防することを推奨しています。ワクチン接種後、腫れや赤みなどが生じることもありますが、重い症状が起こることはほとんどありません。
なお、接種は3回行う必要があります。
荒川区では小学校6年生から高校1年生相当の男児の接種費用の助成を行っております。(それ以外の方は自費になります。)
荒川区HP:https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a033/kosodate/nyuuyouji/hpv_josei_boy.html
ワクチン接種(予防接種)の費用
費用(税込) | |
インフルエンザ 大人(13歳~) | 4,000円 |
インフルエンザ 小児(~12歳まで) |
3,000円 |
肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス) | 8,000円 区の補助がある方 1,500円 |
MRワクチン | 9,000円 区の補助がある方 0円 |
帯状疱疹ビケン(1回接種) |
8,800円 |
帯状疱疹シングリックス(2回接種) | 22,000円 区の補助がある方 11,000円 |
HPVワクチン(ガーダシル) ※荒川区にお住いの小1~高1 |
全額補助あり |
HPVワクチン(ガーダシル) ※自費 |
18,000円/回 |