- 尿潜血陽性(血尿)と指摘されたら…
- 尿潜血(血尿)から疑われる病気
- 目で見てわかる血尿「赤みがかったおしっこ」:肉眼的血尿
- 尿検査で発見される微量の血液「見た目ではわからない血尿」:顕微鏡的血尿
- 血尿の治療
尿潜血陽性(血尿)と指摘されたら…
健康診断などで尿検査を行って、尿潜血陽性という結果が出た場合、おしっこに目で見ても分からない程度の微量な血液が含まれています。尿に血が混じる血尿は目で見ただけでは分からない顕微鏡的血尿も含み、尿が作られる腎臓、尿の通り道である尿管・膀胱・尿道などに生じた疾患によって生じることが多くなっています。尿潜血陽性は加齢とともに指摘される頻度が上がり、男性より女性に多い傾向があります。
一方、見て血液が混じっていると分かる血尿は、肉眼的血尿と呼ばれ、さらに重大な病気のサインである可能性が高い症状です。膀胱がんはほとんどが痛みを伴わない肉眼的血尿をきっかけにして発見されています。
尿潜血陽性とは
尿を採取して尿試験紙法(定性試験)を浸し、血液の成分である赤血球が尿に含まれていると試験紙が変色するという検査が行われます。微量の血液が混じっていても発見でき、血尿の程度を−、±、+、++、+++と評価し、+以上が尿潜血陽性とされます。手軽な検査であり、一次検査として行われています。
尿潜血(血尿)から疑われる病気
血尿は、尿を作る腎臓、尿の通る尿管・膀胱・尿道などの病気によって生じることが多く、女性の場合には婦人科系の疾患を原因として生じることもあります。体質的に尿潜血陽性になりやすいケースや、尿道の出口周辺の粘膜にダメージがあって血が混じってしまうこともあり、その場合は陽性でも心配ありません。ただし、腎臓病や膀胱がんなどの重大な病気が原因になっている可能性もありますので、尿検査で尿潜血陽性を指摘されたら原因疾患の有無を確かめるようにしましょう。
目で見てわかる血尿「赤みがかったおしっこ」:肉眼的血尿
肉眼でも明らかに赤みが確認できる血尿は肉眼的血尿と呼ばれ、赤みがある程度から鮮やかに赤い場合もあります。
肉眼的血尿が1回出もあった場合には、重大な疾患が隠れている可能性がありますので、繰り返さない場合でもできるだけ早めにご相談ください。膀胱がんでも、1回だけ明らかな肉眼的血尿を生じ、その後は特に症状を起こさないまま進行するケースも存在します。肉眼的血尿を生じる疾患は数多くありますが、一時的なものにも重大な病気が隠れていることが多いので注意が必要です。
尿検査で発見される微量の血液「見た目ではわからない血尿」:顕微鏡的血尿
肉眼では特に色の変化を感じられませんが、微量な血液が尿に混じっていて尿検査を行ってはじめて発見される血尿は顕微鏡的血尿と呼ばれます。健康診断などで行われている尿検査では、尿を試験紙に付けて観察する簡易的検査が行われています。
健康診断の尿検査で尿潜血陽性や、「+」「2+」などを指摘された場合には、疾患の有無をしっかり確かめることが重要です。肉眼的血尿に比べて様々な疾患の早期発見に繋がる可能性が高くなっています。顕微鏡的血尿で早期発見に繋がる疾患には、腎臓の糸球体異常や膀胱がん、腎がん、前立腺がん、尿路結石などがあります。
当院では尿を遠心分離させて沈殿物を顕微鏡で観察する沈渣検査も行っており、顕微鏡で血液成分の有無を調べることができます。
血尿の治療
問診で血尿の状態や発生頻度、他の症状などについて丁寧に伺います。採取した尿を分析し、尿細胞診を行い、疑われる疾患によっては血液検査や超音波検査を行うこともあります。肉眼的血尿がある場合には膀胱がんなども疑われますので、尿細胞診が不可欠です。
細菌感染による炎症で血尿が生じている場合には、抗生物質で治療が可能です。尿路結石の場合には、痛みなどの症状を緩和させる対症療法を行い、結石の大きさを確認して破砕治療が必要か、自然排出が期待できるかを判断します。他の病気の場合も、状態や程度をしっかり見極めた上で必要な検査を行って診断し、適切な治療に繋げていきます。